10代の反抗期に対処する、7つのアドバイス。

Culture 2023.07.29

アドバイス

怒ったり、反抗したり、親の権威を踏み躙ったり……思春期の子なら誰でも取りがちな態度だ。自分の子がそうであっても何の不思議もない。幼いときはタイムアウト法が有効だったが、それはもう卒業してしまった。彼らが度を越えた態度で向かってきたとき、それをどのように伝えたらいいのか? 専門家が応えてくれた。

23-05-23-desobeissant-01.jpgまだ(とても)若い大人である彼らに対して、親としてどのような態度を取ったらいいのか? illustration: Malte Mueller / Getty Images

10代の我が子が生意気に口答えをしてきた時、どうしたらいいのかいいのだろう。家のルールを無視し挑戦的な態度を示してくると、親は途方に暮れてしまう。今までは子どもが問題を起こした場合、別の場所に隔離するタイムアウト法を使っていたが、思春期に突入しようとしている、あるいはそのど真ん中にいる彼らには適していないだろう。では親として(とても)若い大人である彼らとどう向き合ったらいいのか。スマホを片手に冷ややかな態度を見せている思春期まっただなかの相手に、親として自分が「がっかりしている」「怒っている」こと、または「親としての権威」そのものをどう伝えたらいいのだろう。臨床心理学者であるアリーヌ・ナティヴェル・イド・アムさんと、デジタル世界が専門の心理学者であるミカエル・ストラさん(1)のアドバイスを聞いてみよう。

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1. 家族会議を開く

これが最も早く実施可能なアクションだ。これは不可欠な行事であり、親と思春期の子の関係が落ち着いた後でも続けたいものだ。家のルールを決める際、家族会議やミーティングがお勧め。「自分が作ることに関わったルールは守られる可能性が高いので、子どもが参加すればするほど、決め事がスムーズに運ばれるようになります」とアリーヌ・ナティヴェル・イド・アムさんは説明する。「何よりも子どもは親や家族とのつながりを感じることができるようになります。両親が結束し、対応に一貫性があることは思春期の子どもにとって安心材料となるのです」

もし行き詰まりや変化が起きたら、もう一度話し合って妥協点をみつけよう。妥協は子ども側からも、親側からも必要だ。どちらが力を持っているのか競い合っても何にもならない、と心理学者のミカエル・ストラさんは断言する。「ティーンエージャーと“交渉”する機会を設け、それを定着させるのが理想です」


2. ルールを破った場合、反応する前に一瞬待つ

10代の子が門限を一時間も超えて帰宅したとしよう。時間を守ることは家庭内の大切なルールの一つだ。親は怒りで腹が煮えくり返っている。ドアをバタン! と音を立てながら子は部屋を出ていく。親は「スマホを取り上げるぞ」「外出は厳禁」と子をどなりつけて脅したくなる。でもそれはストップ! 大きく深呼吸をしよう。親のこの反応はいたって普通のものだが、「気持ちは非常に高ぶりますが、その場で罰を与えても、有効な教育手段ではないかもしれません」とアリーヌ・ナティヴェル・イド・アムさんはコメントする。「若者は支配されていると感じる可能性がありますし、親子関係で陥りがちな力の競い合いをここで始めるのは適切ではありません」

それより一旦距離を置き、その場で罰を与えない方がいいと言う。今は感情的になっているから、考える時間が必要だと伝えるのもいい。「すぐに罰を与えないことは弱さの表れではありません。その代わり、翌日には対策を決めることを明らかに伝えましょう。今後の流れを明確にしておくのです」とアリーヌさんは言う。


3. 携帯電話を罰に使わない

さらにこのように念を押す。「思春期の子のスマホを取り上げるのはやめましょう!」度が過ぎた行いをした子のスマホを窓から投げ出したくなるのは理解できる。しかしスマートフォンで罰を与えるとむしろ非生産的な結果につながることがある。「スマホは彼ら自身の延長であり、スマホを通して友だちとつながっているのです。これ無しでは彼らの生活が非常に困難なものになってしまいます」とコメントする。そして親を疲れさせる戦争が始まることにもなる。どうしても罰を与えたいなら、テレビ、タブレット、パソコン、ゲームなどを禁止し、スマートフォンは最終手段にとっておくべきだとアリーヌ・ナティヴェル・イド・アムさんは考える。

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4. 柔軟に

子どもの行き過ぎた行動に激怒している親が、柔軟な態度でその状況と向き合うのは難しい。息子や娘が自分の行いを即座に反省するような効き目のある手段が欲しいのだ。しかし専門家によれば、親は破ったルールの種類によって異なった対応をするべきとのこと。「どんな罰を与えるのかは親の自由ですが、帰宅が1時間遅れるのと、麻薬の売人になるのとは大きな違いがあります」とミカエル・ストラさんは指摘する。

罰の期間に関しても同様。自分が犯した過ちをはっきり自覚させるため、外出禁止期間を一カ月と長めに設定するのは意味がない。「一週間くらいが理想的な期間でしょう。そしてその週が過ぎたら最後に現状を話し合ってみること。どうしても長期に渡る罰が必要だと思う場合、週ごとに努力や態度を評価する機会を設けることを提案してみましょう。良い変化を促すモチベーションになるかもしれません」とアリーヌ・ナティヴェル・イド・アムさんはアドバイスする。


5. コミュニケーションと信頼を第一に

親が自分の思春期を思い出してみてはどうだろう。親である自分も同じような経験をしたと子どもに話し、息子や娘を見るとかつての自分を思い出すと語ることで、緊張が和らぐかもしれない。「自分の思春期を話すのはタブーではありません。むしろその逆の効果があります。対話をしながら、自分の場合何が問題だったのか、何がきっかけで色々な混乱を乗り切ることができたのか、それらを話し合うのが目的です」とアリーヌ・ナティヴェル・イド・アムさんは言う。

自分自身が子どもに対して間違ったことをしてしまった場合、それを子どもに伝えることを恐れる必要はない。「親が過ちを認める姿を見れば、子どもも自分の失敗を乗り超えやすくなりますし、対話を始めるきっかけともなり得ます」とアリーヌ・ナティヴェル・イド・アムさんはコメントする。「コミュニケーションを最優先し、それを続けることが大事です。思春期の子は信頼されていると感じることによって、ルールを破りたい気持ちが軽減する可能性があります」とミカエル・ストラさんは言う。


6.チャンスを与えてあげよう

親だけでなく教師や社会が設定する制限に対し、常に挑戦したがる子にどう対応したらいいのだろう。確かにうんざりさせられるが、この年齢の子の典型的な態度なのだ。そして「親が理想を掲げている場合ほど、10代の子はそれに背いたり、反対のことをしたりします。でもそれがティーンエージャーの“仕事”なのです」とミカエル・ストラさんは言う。命を落とすようなことでなければ、やらせたほうがいい。実際には無意識に親の感情や愛情を試しているのだ。「10代の子にとって、親はルールがあることを思い出させてくれる存在であり、自分を心配していると知ること自体が安心材料になるのです」とアリーヌ・ナティヴェル・イド・アムさんは付け足す。

思春期は大きな矛盾が混在する時期だ。早く大人になりたくて未来への希望を募らせると同時に、親に愛されていることによって得る安心感を強く必要としている時期でもある。日常においての振れ幅は大きい。土曜の夜は遅くまで遊びに出かけたいと交渉する一方、日曜日はパパやママとソファに並んでアニメを見て過ごす。ティーンエージャーが経験しているホルモン的、身体的、そして精神的な激動を考えれば、退行行動は彼らに良い影響をもたらすと心理学者アリーヌ・ナティヴェル・イド・アムさんは考える。結局のところ「親がしてあげられる最大のことは、彼らと一緒に思春期という時期を歩むことなのです」とミカエル・ストラさんは付け足す。


7. 両親の意見が統一していること

心理学者アリーヌ・ナティヴェル・イド・アムさんは診察に来る家族には、両親の間で教育に関する考えが一致していない場合が多いと言う。しかし手のかかるティーンエージャーを抱えている場合、両親が一緒に立ち向かうことがきわめて重要だ。双方の発言が異なると、子どもはそれを利用して自分に有利な方に、すなわち自分のやりたいことに近い方の親につくようになってしまう。

(1)ミカエル・ストラさんは l'École des Hérosという施設の創設者。16歳から25歳の社会あるいは学校に対する恐怖を抱え、ビデオゲームに依存し、高い知能を伴うアスペルガー症候群の若者を受け入れている。デジタルを活用し、教育や職業訓練を提供している。

text: Julie Falcoz (madame.lefigaro.fr)

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